HousingTribuneWeekly 620の記事のご紹介です。
断熱化のしっかりした暖かい住居は健康寿命を延ばすことがさまざまな研究から分かってきています。以下、記事の抜粋です。
手軽で効果の高い断熱改修工事は、開口部の断熱化です。今窓の断熱リフォームに政府から大きな助成金が支給されますので、ぜひ下の記事を読んで窓の断熱リフォームをお考えください。
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日本サステナブル建築協会「住宅の断熱化と居住者の健康への影響に関する全国調査」の報告会で、最新の知見を明らかにした。
劣悪な温熱環境下でも「寒い」と認識しない居住者が多く、「寒さの自己申告はあてにならず、健康被害防止に向けて室温の把握が必要」と指摘する。
約4000人に居間の寒さを申告してもらったところ、寒い部屋であるにもかかわらず33.9%が寒さを感じていなかった。特に年齢が高まるほど、また、BMIが高いほど「寒さなし」答える割合が高い。高齢者ほど、また、肥満という循環器疾患のハイリスク者ほど寒さを感じにくいということだ。
また、医療経済効果の視点から住まいの断熱化の検証をする研究も進められている。
断熱等性能等級2・室温15℃、等級4・室温18℃、等級6・室温21℃という3ケースについて、40歳で住宅を取得し90歳まで生活するシミュレーションを行った。50年間の健康寿命を比較すると、等級2の住宅に50年間暮らした場合に比べ、等級4と等級6は総じて健康寿命が延びる。しかも、前者後者で生涯費用は変わらない。
また、40歳で等級2の家を取得し、55歳で等級4または等級6に改修して90歳まで生活するというシミュレーションでは、改修費用が高くなることから生涯費用は200万円以上アップするが、健康寿命は新築の場合と同様に伸びた。
医療費は高血圧・循環器関連でシミュレーションしているが、健康指標には睡眠などさまざまな要素もあり、これらも考慮すればさらに効果は大きくなる可能性がある。
また、家の断熱改修により朝晩の最高血圧・最低血圧が低下することが報告されている。
断熱改修世帯と比較対照世帯の5年間の血圧の変化をみると、時間経過とともに加齢に伴う血圧上昇の勾配が緩やかになっている。断熱化による短期+長期の二つの効果で、住環境が重要であると言える。
一方、断熱化によりリスクの高い入浴習慣の改善も見込めそうだ。これまでの調査から42℃の風呂に10分間入浴すると体温が38℃近くに達することが分かっており、体温が上がり過ぎ、さらにそのあと急降下することで体への負担が大きくなる。消費者庁も「湯温は41℃以下、湯に浸かる時間は10分まで」と注意喚起している。
居間と脱衣所の冬季の在宅時平均室温が18℃以上あると、熱め入浴する人が少なくなる。さらに断熱改修により室温が上昇すると、熱め入浴する人がさらに減少する。つまり、暖かい住宅に住んでいると危険な入浴をする習慣が減る可能性があるということだ。